戸塚宿を行く

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戸塚パルソ通信@メール 第14号

戸塚宿を行く

vol.006-02

戸塚と歌舞伎道行旅路の花聟2

主君の一大事に居合わせることが出来なかった早野勘平とお軽の二人は鎌倉を出奔し、お軽の故郷、京都山崎へ向かう途中、戸塚山中を通ります。

○道行旅路の花聟2

理由はどうあれ、恋人である勘平と二人きりで旅が出来ることにウキウキするお軽。
「泊まった旅籠の唐紙(ふすま)の模様が(仲のよい夫婦の象徴である)オシドリだった。自分たちのようで嬉しい」という無邪気なセリフが口をつきます。
しかし、「武士にあるまじき失態をしてしまった」と嘆き、旅慣れぬお軽を心配する勘平は落ち込むばかり。
「とっさに出奔して来てしまったが、これでは恥の上塗り、ここで死んでお詫びをするから、後の弔いを頼む」と、自害しようとします。
「何をいうのです」と、止めるお軽。
「あなたが死ねば、私が生きていられるはずも無い。そうしたら、世間はただの男女の心中としか受け取ってくれないだろうから、あなたの自害は、主君へのお詫びにも何にもならない。生きて、恥をそそぐ機会を待ちましょう。それまで、私が針仕事でも機織りでもして、あなたを養います」 とまで言います。

この「口説き」のシーン。
古今東西変わらない男女の機微をきれいに表わしています。観客は自分たちにも身に覚えがあるとして、くすぐったい気持ちで見るのでしょう。

と、そこへ何故か現れるのが、高師直の家臣の鷺坂伴内。
「おい、勘平」と、無駄に強がるセリフはモブキャラ度100%です。
「オマエの主人(塩冶判官=浅野内匠頭)はオレ様のご主人(高師直=吉良上野介)にちょっかい出しておきながら、何も出来ずに、あげく切腹とは様は無い」
と、さんざん塩冶判官と勘平を侮辱し、「花四天」と呼ばれる部下たちを勘平にけしかけます。
ところが勘平は、あっという間に花四天を蹴散らし、鷺坂伴内も切り捨てようとしますが、「無駄な殺生は罪を重ねるだけ」と、お軽に止められ、命拾いをした判内は、這々の体で逃げてゆきます。

その際の、勘平と伴内たちの立ち回りが、美しく、かつ滑稽な振り付けで見せられます。
花四天は武器の代わりに桜の花の枝を持っています。ですがそれは「花ではなくて武器です」という約束事になっています。その約束事のもと、舞台は美しく桜の花が舞い踊る姿になっています。リアリズムでは表現できない、美がそこにあるのです。

鷺坂伴内は、いわゆる三枚目、道化役の実力が問われる役どころです。また、わざわざこのモブキャラを大看板が演じることで、観客にサービスすることもあるそうです。短い時間でキチンとお軽勘平の主役を引き立てるのは、並の演技力では難しいということなのかもしれません。

鷺坂伴内の登場は、いささか唐突です。
夜陰に乗じて東海道を旅している、お軽勘平をわざわざ部下を引き連れて、嘲笑する為だけにやって来たというのは相当無理があります。
実は、このお軽勘平と鷺坂伴内のやり取りは、元々は、足利館松の間(松の廊下)のすぐ外という設定だったのです。
足利館の変事を知り、中へ入れろと騒ぐ早野勘平に「主人が主人なら、家臣も家臣」と判内が嘲笑して一悶着というシーンを、わざわざ戸塚の大坂上でのエピソードに変えた為に、唐突なストーリーになってしまったということです。
ストーリーが破綻する危険を冒しても、観客を喜ばせるために、舞台として選ばれた戸塚の大坂上。江戸の庶民にとって憧れの地だったといえるのかもしれません。

次回の「戸塚と歌舞伎」は「小栗判官照手姫」です。

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