戸塚パルソ通信@メール 第116号
戸塚宿を行く(地域逍遥)
vol050
ひっそり佇む健康への願いおしゃもじ様
■おしゃもじ様
ブリヂストン工場のはざまに、小さな祠があります。
中を覗くと、古びた「しゃもじ」がたくさん。石の祠が本体でしょうか。それを風雨から守るように赤い屋根の祠が建てられています。
お供物も定期的に取り替えられているようで、大事に守られていることがわかります。
この祠のことを調べてみたところ”おしゃもじ様”という、関東で広く信仰された神様の祠であることがわかりました。
風邪・喘息・百日咳など、咳に悩む人が、この祠に奉納された”しゃもじ”をいただいて、喉をさすると咳が治ると言われ、無事快癒した場合、いただいたしゃもじに、新しいしゃもじを加えて元の祠に戻す風習があったとのことです。
現在では、しゃもじをいただくことはされていないようですが、新型コロナの蔓延する中、呼吸器系の病気にご利益があると、密かな人気が高まっているとか。
咳にご利益があると言えば、横浜市内には「咳神社」「堰神社」(読みは”せきじんじゃ”)という神社があります。
これは「堰(防波堤)」を守る神様だったものが、「せきじんじゃ」という音に惹かれて、病気の”咳”にもご利益があるとされるようになった、と言われます。
柏尾河畔にあるこちらのおしゃもじ様も、元は”堰”に関連しているのかもしれません。
さらに、おしゃもじ様は、諏訪地方の「ミシャグジ」という信仰が訛ったとされています。「みしゃぐじ→おしゃもじ」ということです。
諏訪地方といえば、七年に一回の御柱まつりで有名ですが、木で作られた”しゃもじ”は、どこか御柱に通じる部分を感じます。
●おしゃもじ様