戸塚宿を行く(歴史探訪)

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戸塚パルソ通信@メール 第111号

戸塚宿を行く(歴史探訪)

vol048-01

スーパーヒーローの元祖鎌倉権五郎と御霊神社(1)

スーパーヒーローの元祖「暫」の鎌倉権五郎(演:九代目市川團十郎)

■鎌倉権五郎とは

歴代の市川團十郎の当たり役として知られる「暫(しばらく)」の鎌倉権五郎。
悪人が善良な市民に危害を加えようとすると、どこからともなく「しばらく(待て!)しばらく!しばらくぅう!」との声とともに六方を切りながら現れ、悪人どもを成敗する、仮面ライダーの先祖とでもいうべきヒーローです。

■歴史上の鎌倉権五郎

鎌倉権五郎は、桓武平氏の流れを汲む武将で、鎌倉を根拠地にしていたことから「鎌倉」を冠したと言われています。
平氏ですが、関東で勢力を広げていた源頼義、源義家の配下として、若くして頭角を表します。
源義家らが、奥州の安倍氏・清原氏を討伐した前九年の役・後三年の役に従軍し、武功を立てたと伝わります。

後三年合戦絵詞

彼には有名な逸話があります。
合戦時、敵に右目を射られ、倒れたところ、味方が矢を引き抜こうとしてくれました。 しかし、なかなか抜けなかったため、踏ん張ろうと彼の顔に足をかけたことに「武士の顔を土足で踏むな」と激怒し、敵そっちのけで、その味方を追いかけ回した、とか、その時、射られた眼球を「これは親にもらった体の一部、失っては親不孝」と、丸呑みした、などと言うものです。
後者の逸話は、三国志の夏侯惇の逸話のパロディのような気もしますが、目を失っても怯まず、武士の面目や孝行を優先する豪儀な人物だった、と言い伝えられているのです。

■鎌倉権五郎と御霊神社

鎌倉権五郎を祭る御霊神社

上のような逸話で知られる鎌倉権五郎は、その武勇にあやかりたいと、武士から絶大な人気を集めます。
加えて、武士にとって聖地とも言える鎌倉を苗字にしていること、坂東平氏の先祖の一人であることから、彼は神として祭られます。
鎌倉権五郎を祀った神社は、「ごりょう神社」として、相模の南部に多く建立されます。
「ごりょう」とは、「御霊」や「五霊」が当てられます。
鎌倉権五郎の「御霊」を祭った神社、あるいは、鎌倉権五郎を含めて5柱の神を祭った「五霊」など、少しづつ由来は異なりますが、鎌倉権五郎を祭った神社は音を合わせる決まりごとがあったのでしょう。

鎌倉七福神の一つである、坂ノ下の御霊神社は、面掛行列というお祭りで知られます。古代の雅楽で使うようなお面をつけて、市内を練り歩くものです

面掛行列用のお面

御霊神社の境内にある、鎌倉権五郎が弓を掛けて休んだという松の切り株。

戸塚近隣には、鎌倉権五郎を祭る神社が多く存在します。次回は、戸塚近くの御霊神社を紹介します。

●御霊神社